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海軍日誌

第2章 暖かな日々


そんな折にセンゴクに拾われた。一緒に来るかと聞かれた時、どうしようかと目線をさ迷わせた。
その時にスラム街の人達と目が合った。みんなはゆっくりと頷いたのだ。行けと。目がそう言っていたように思う。

ずっと寂しかった自分の隣に人が居るようになって落ち着かなかった。しかも片側1人だけじゃない両側に2人もいっぺんに増えたのだ。落ち着かないどころか急に肩身が狭くなったようにすら感じた。

でもいつかこの人も私を捨てるのではないかと不安だった。
子供がおもちゃを手に入れたけれど飽きたという理由や思っていたのと違かったとスラム街のゴミ捨て場に捨てるように…かつて母にそうされたように捨てられるのではないかとそう思っていた。

しかしこのセンゴクという男は、いつになっても捨てないどころか甲斐甲斐しく声をかけ手をやこうとするのだ。
不思議で仕方なかった。
しかも先に面倒を見ていたロシナンテがよく夜泣くので可哀想だと言って一緒に寝ていたらしいのだが、もまだ小さいし不安だろうと言って部屋を1部改装し畳張りにして布団を敷き3人仲良く川の字で寝るという事を強行された。

も初めこそ布団から外れ部屋の隅で丸くなって眠っていたのだが、朝起きると布団の中に直されていたのでいつしか諦めて布団で寝るようになった。
心がむず痒くなった。

一緒の部屋で眠っているロシナンテが夜泣く事が多くよく夜中に目を覚ました。
すぐにセンゴクが気付き起きて嫌な顔ひとつしないで、抱き締めて寄り添っているのを見るのがいつしか好きになった。でもその時は必ず胸がギュッと苦しくなった。

いつ捨てられるか不安だったのに気がついた頃にははセンゴクに懐いていた。
あんなに優しい目で見つめられ優しい声で話しかけられ甲斐甲斐しくご飯は足りるか聞かれ、寝る前は抱きしめられもう噛み付こうとすら思えなかった。

「うっ…うぅ…」

ある日の夜また始まったと思ってしまった。ロシナンテの夜泣き。
昨日も今日も…連続だったのでイライラした。

いつもは毎日ではない。でも頻度が少ないわけでもないので心配よりもイラつきが出てしまった。

(センゴクさん、疲れてるのに)
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