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海軍日誌

第1章 プロローグ


世界には海賊や山賊などならず者と呼ばれる者たちが沢山居た。

ならず者たちから、か弱き市民を守る事が仕事だった。
それは生き甲斐で使命感溢れるものだった。
同期にも恵まれ切磋琢磨し合いながら己を鍛えた。

海賊はならず者の代名詞であり、正義を背負ったこちらからすれば、悪であり敵だった。

しかし風変わりなものもたまに居る。

そいつも風変わりというか毛色が違うそんな海賊だった…
いつしか一目置くようになった。
道理に反する事は絶対にしないし船員たちにもさせなかった。
義理堅くとても海賊とは思えない豪胆な男だった。

そんな彼がある日訪ねてきた。
自分を捕縛しろと。
耳を疑った。そして何があったのかと初めてじっくりと話した。

彼は病気だったのだ。余命は幾ばくもないらしい。
もともと子供の頃から患っていたのだと笑った。死ぬまで自由に生きたいとそう思って海に出たのだと。
いつの間にか仲間が増えそれなりに大きい海賊団になってしまったと笑った。
そして
柄にも無く愛する者が出来たのだと声を落とした。

だが、その者も身体が強くないらしい。
無事出産することが出来るのかも怪しいくらいだと。

そこで自分の命の代わりに産まれてくる子供を守ってやってはくれないかと、お前にだから頼むのだと頭を下げてきた。
悩んだ。

とにかく捕まえろと言うので牢にぶち込みはしたが、まだ話は終わっていないからまたすぐに来ると約束をした。

彼が捕まって投獄されたことはあっという間に世界に広まった。
が、約束は果たされなかった。
投獄されてすぐに会いに行ったのに彼は既に息をしていなかった。本当に病気で、余命は幾ばくもない。真実だったのだ。ギリギリで尋ねてきたのだ。
彼は人生を謳歌して全力で駆け抜けて逝ってしまったのだ。

どうしたものかと頭を捻ったが結果だけ言うと、彼の忘れ形見を探した。
すぐに見つけることは叶わなかった。
何年もかかってしまった。彼は詳しくは語らなかったから苦労した。

だが見つけてしまえばすぐに彼の子供だというのはすぐにわかった。髪の色も目の色も同じで、意志の強そうな顔つきも雰囲気すら彼にそっくりだったのだ。

周囲の人から話を聞けば親はいないと言う。
どうしようも無く心が締め付けられた。彼が命と引き換えにでも守りたかったものを、自分が変わって守っていこうと決めた。
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