第8章 この感情も記憶も忘れないために
この頃を境にシオンは所々、記憶が抜け落ちる感覚があった。
まだ日常生活や戦闘に任務等に支障は出ていないものの、本人としては困っていた。
「記憶が所々抜けるというのはどんな感じなのでしょう?」
ピンク髪の少佐、コビーが心配そうにシオンの元へやってきた。
「なんて言うんだろう…?
まだ私もよく分からないんだよね…。」
「そうですか、すみません。変なこと聞いて」
「いえ、大丈夫ですよ。」
シオンはニコリと笑った。
「なぁ、ここにシオンって人はいるか?」
海兵がやってきて早々シオンを呼びつけた。
「私ですか?」
「あぁ、いた。センゴクさんが呼んでたぞ。」
「センゴクさんが?」
シオンはセンゴクの元へ向かった。
「失礼します。シオンまいりました。」
「あぁ、シオン。そんな堅苦しい挨拶せんでいいから。」
「しかし…。」
「お前を呼び出したのは、育ての親としてだ。」
「…なんの用ですか?」
「最近、ぼんやりすることが増えたんだって?
あと、記憶の抜け落ちがあるとか」
シオンは黙って視線を逸らした。