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記憶が亡くなる前に

第6章 元奴隷の少女と珀鉛病の少年


トラファルガー・ローという少年が迎え入れられて3年が過ぎた。
ドンキホーテファミリーはその海で名を轟かせて大きくなっていく。

変わるものもあれば、変わらないものもあった。

変わった事と言えば、ローの体に白いところが増えていく。
変わらない事と言えばシオンは相変わらず、言葉数少ないしコラソンにくっついて離れない。

「なぁ、なんでお前はあいつの傍にずっといるんだ?」

シオンは読んでいた本から顔を上げてキョトンとした。

「あいつ、強いけどかなりドジじゃん。
足引っ張ることすらあるし…」

シオンは少し考えた。
なんて言えばいいのか分からない。
でも頼れる大人がその人だったから。
それ以上にその人がいると安心する。
死んで欲しくないから傍にいようと思う。

一言で言うには難しい。

「なんとなく…。」

それしか言えなかった。

「は?何となくで一緒にいるの?
意味わかんねぇ…」

「そうだね。意味わからないね。」

そう言うとシオンはタバコの火で燃えているコラソンを見て笑った。

「コラさん、何やってるの?」

立ち上がりバケツに水を入れて急いで消す。
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