第7章 2-3
「どうします?」
「そうだな…。」
鬼鮫さんの問いにイタチは難しい顔をして、目の前を見据える。
「単純にさ、ここの切れ目に切り込み入れて壁を押してみるとか?」
退かせばいいじゃん?
そう思ったんだけど、何故か二人に呆れ顔を向けられた。
「見た目通り単純ですねぇ、あなたは。」
鬼鮫さんに至っては、やれやれと首を振る始末。
ちょっとカチンとくると思わない?
「人の力でどうにかできるとは思えませんが?」
「試してみればいいんでしょ。」
物事はね、試してなんぼなのよ。
ふんっ、と鼻息荒く少し腕まくりをし、私は溶接部(?)に手を当て、パキリパキリと切り込みを入れていく。
「…出来るのか?」
イタチの半信半疑の様子に、ちょっとムッとしながらも答える。
「あのねぇ、物事は”やってみなけりゃ、わからない”のよ。」
そう返すと、イタチは何故か少し目を見開いてから、ふっと笑った。
「そうか。」
「そうよ。」
そう答えると、私は両手にチャクラを集中させる。
すー、ふー…。
深呼吸。これ大事。
「…よし。」
私は目の前の壁に手を当てると、一気に力を入れて押し倒しにかかった。
ミシミシミシ…
ピシピシピシ…
お、意外に動くじゃん。
んじゃ、もう一踏ん張り。
ふんっっ!!
さっきより力を入れて、壁を押し倒すべく力を入れる。
すると。
ガコン、ゴロンゴロン、
ゴロゴロゴロゴロ…
「…えっ。」
思ってたんと違う。
ゴロゴロガコン!!
最終的に、壁は転がって何かに嵌ったらしい。
っていうか、壁が転がるって何事…?
「そんなことある…?」
ぽつん…と私の声がやけに響いた。