第8章 新しい幸せ(岩泉一)
香澄side
「そろそろ、いいじゃん、!」
「だから、恥ずかしいから言わないって言ってんべ」
「はあ、、、」
「そんなことより、、」
どさ、と押し倒されて今日も、彼に奪われていく
・・・
岩泉一と付き合って、この前1年がたった
付き合った当初から、恥ずかしいという理由で周りに公表していない
だから会えるのは、ほぼどちらかの家
デートらしいデートも数回程度
今日も放課後部活終わりに『今から行く』と連絡が来て、今に至る
今日も公表したいという願いは、かなわぬまま
ことが終わって、二人で寝ころびながらうとうとしていた時、ハッ!と思い出しダメもとで聞いてみる
「はじめ、修学旅行で一緒に国際通り歩こうよ」
「ん、?」
少し寝ぼけ眼な彼に、もう一度いう
「だから、修学旅行、ちょっとでもいいから一緒にいたい」
「あーー、、、厳しいな」
「恥ずかしいから、、?」
「、おう、」
(まあ、期待はしてなかったけど、、)
予想通りの返答に、「はあ、」と思わず小さくため息を漏らす
「なんだべ?」
ため息をつく私に、不思議そうな顔で聞いてくる
「なんでもない」
少しだるい体を起こし、脱ぎ捨てられた制服をハンガーにかけて、水を飲もうとペットボトルを口につける
ゴク、と一回流し込み、もう一度口に水を含むと、いきなり腕を引っ張られる
「ん!?」
気づいた時には、口同士がくっついて、私の口の中の水が彼に取られていく
ゴク、、
男らしい音が鳴って、彼の伏せた目が上がり、目が合う
(ほんと、こういうところ、、、)
きゅんとなる胸を抑えて、
「飲む?」
とペットボトルを差し出す
「いや、もういい」
と優しく微笑んで、よいしょ、と起き上がった彼
「そろそろ帰るわ」
制服を着なおして、玄関まで一緒に行く
「じゃあな」
「うん、またね」
そう言っていつも通りの1日が終わっていった