第17章 大正恋物語【煉獄家】
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槇寿郎「まゆよ、お前は鬼になった男を自分の側に連れ戻してどうしたいのだ。お前が愛した男だとしても、相手は散々人を喰った鬼だろうが!!俺は承認し兼ねる」
まゆ「今現在十二鬼月の上弦の壱。ですが、巌勝さんは人を喰えませぬ!」
瑠火「それは何故なのかを、詳しく説明願います」
はぁ…言わなきゃ…
言ったら、私は化け物を見る目で見られるのかもしれない。でも父上と母上には、遅かれ早かれ言わなければならないのは分かっていた筈だわ
頑張れ自分、怖くても言うのよ!
まゆ「そっ、それは…」
預言者『モーセ』には「正直話すが吉♪」とか、まるで朝の占いのように言われたけど、本当に大丈夫かしら
まゆ「私が……私が魔族だからです。この魂は人ではない…。四百年前、巌勝さんが鬼となった時、私の身体は瀕死でした。そのおかげか、一時だけですが、魔族としての私が目覚めたのです。私の魔力の一部使用許可をし、その代わりに人を喰えぬ制約をかけました」
槇寿郎「ほぅ、だからその鬼は人を喰ってはいないと…」
瑠火「そもそも何故、その方は鬼になったのです?」
ちょっと待って!!私が魔族なのはスルーなの!?
まゆ「あれは、彼と一緒に本部から屋敷に帰る途中の事でした。強い鬼の気配を感じとり、そこに鬼舞辻が現れました。直ぐに応戦しましたが全く歯が立たず…私は鬼舞辻に捕まり、巌勝さんへの人質にしたのです…」
槇寿郎「何と卑怯な…」
今でも覚えてる、巌勝さんの悲痛な顔を…
まゆ「鬼舞辻は言いました『私は呼吸とやらを使える部下が欲しい。この女と腹の子を助けたければ鬼になれ』と…。この日、私のお腹には巌勝さんとの赤ちゃんが居るのを知りました。巌勝さんは自分が鬼になれば妻と子を守れると…そして鬼となった」
瑠火「槇寿郎さん、娘が自分の魂の在り方を晒してまで言っているのです、認めてあげたらいかがですか。どうやら彼はまゆと子を助けたい一心だったようですよ。分からなくもないでしょう?」
槇寿郎「瑠火…しかし、俺は鬼を狩る鬼殺隊の炎柱だ。父としては娘の好いた男ならば認めてやりたいが、鬼狩りとしては…」
父上も母上も私の正体を知っても『娘』と言ってくれる…
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