【呪術廻戦・ハイキュー・文スト短編集】caramel
第2章 おにぎり【呪術廻戦狗巻棘】
『水雫操術!水龍っ!』
香菜が手をかかげると、式神である水龍によって呪霊はあっという間に祓われた。
ふぅ…と安堵の息をつく。
今日は単独任務で、小さな村に訪れていた。
目的であった呪いを祓い、襲われた村の方々を見に行かなくてはと、くるりと振り向いた時だった。
「死ねっ!!!!」
目の前に迫り来ていたナイフを顔を後ろにそらしてギリギリでかわす。
前髪がナイフに擦れ、パラパラと舞った。
どきどきとなる胸を押さえ、一歩後ろに飛んで遠のいた。
目の前には、ナイフを握る少年の姿。
ズズズ…と影が少年にまとわりついているようだった。
「っ…人を殺せば…もっと殺せば…姉ちゃんは生き返るんだ…っ!せっかく呪いを放したのに…!!!邪魔をするなよっ!!!!」
血走った目が香菜を睨む。
その子が握りしめていたナイフが宙に浮く。
『っ!!!!(術式…!)』
この子は…呪詛師だ。
その子にまとわりついていた影が、大きな沢山の影となって村の方へ広がっていく。
数本のナイフが宙を飛んで香菜に向かってくる。
それに伴って少年も香菜にナイフを向ける。
男の子の術式か、ナイフは避けようが叩き落とそうが、軌道を変えて何度も何度も向かってくる。
その間にもあちこちで悲鳴が聞こえる。
助けに向かおうとするも、男の子がナイフで向かってくるため、なかなか行けない。
「死ねよっ!!」
『くっ…!』
素早くナイフを向けてくる男の子をギリギリで交わす。
も、数本のナイフはかすり、すでに切り傷で香菜の体からはいろんな所から薄く血が出ていた。
今私がどうするべきかなんて分かってる。
このままでは村は全滅だ。
やれ
やれ私やるんだ。
男の子のナイフを交わし、後ろへ遠のく。
ひとつ深呼吸してから、震える手をかかげた。
『水雫操術。…水剣。』
香菜の手元に現れた雫色の水で覆われた剣。