第57章 闘いを終えて
(ついていかなくちゃ…。)
傷口を縫い終わった菫は隊服を元に戻し、杏寿郎の腕を自身の肩に回すと呼吸を使って立ち上がった。
そしてよろよろとよろけながらも進もうとする。
実弥はそれに気が付くと他の力がありそうな者を探した。
すると――、
槇「杏寿郎ッ!!!」
「………………。」
菫は駆けて来る杏寿郎と同じ色の髪と瞳を持つ男性を見て目を見開いた。
(お父様……。)
槇「杏寿郎は…息子は無事なのか!気を失っているだけなのだろう!」
菫は杏寿郎の体を支えて貰いながら頷いた。
「先程までは意識もしっかりされていました。とはいえ上弦の壱と鬼舞辻を相手にされたので傷は深いです。一刻も早く蝶屋敷へ運んで寝かせて差し上げなければなりません。」
槇「分かった。あとは私が引き受けよう。」
そう言われても菫は杏寿郎の片腕を離さなかった。
「お供させて下さいませ、槇寿郎様。私は彼の婚約者です。」
その言葉に槇寿郎は目を見開いた。