第2章 ある日の雨乾堂にて
隊士が見えなくなるまで目で追っていることに気付いた浮竹が再度頭を撫でてきた。
「そんなに警戒しなくても大丈夫。彼は入隊一年余りの新人だよ」
いつの間にか気を張っていたらしい。浮竹の手になんだか落ち着いてきて、そのまま目を閉じる。近くに別の温もりを感じると気付いたときには数刻、時が経っていた。
空がもう少しで茜色になる頃に目が覚めた。浮竹に礼を言い布団を片付けると、暖かい緑茶(玉露)と花の形をしたお菓子が用意されていた。お菓子は以前に京楽が持ってきた物らしい。
暫くの間お茶とお菓子を堪能しながら、ここ数日で隊での出来事や噂話をしていると京楽がやってきた。片手に大きめの徳利をぶら下げて。
そのまま他愛ない話しをして、各々の場所へ帰った。