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同期の仲

第2章 ある日の雨乾堂にて





──とある十三番隊 隊士──


霊術院を卒業し、護廷十三隊の十三番隊に配属されて一年余り。虚退治はまだまだ。でも書類整理等の事務作業に慣れてきた頃。


席官の先輩隊士に書類を提出に行ったら「今手が離せないから代わりに隊長に届けてくれ」と他の書類も預けられた。


十三番隊隊長 浮竹十四郎。護廷十三隊で八番隊隊長 京楽春水と共に百年以上隊長を勤める方。身体が弱いため臥せることが多いが実力は凄い。明るく温和で隊士達を見る姿はまるでお父さん(と先輩隊員が話していた)。


入隊してから顔を合わせたのは数回、話したことは無いに等しい。にもかかわらず、まだ底辺の底辺と言える自分の名前を覚えていらっしゃったり、声を掛けてくださったりしてくれた。


浮竹隊長が慕われる理由の一つなのだろう。


そんな浮竹隊長は今日、雨乾堂に居るらしい。十三番隊敷地内の離れにある場所。場所は分かるが行ったことがあるのは過去に一度だけ。近づくにつれて緊張してきた。


入口に到着し、声をかけるが返事がない、でも戸が空いている。後ろめたさを感じつつ中を覗くとこんもりと盛り上がっている布団が。


隊長がお休みになっている。が、よく見ると布団から出ている髪の毛は黒色。浮竹隊長の髪は白色。染めたのかと思ったその時、布団の中の人物が寝返りを打ち、こちらに顔が向く。比較的若い女性の顔だ。


「えぇぇぇッ!!!」


色恋沙汰等の浮わついた噂一つない浮竹隊長の布団に女が寝ている。驚き雨乾堂の欄干に身体をぶつける勢いで後ずさる。そのまま動けないでいると、今まで閉じていた目が開いた。眠いのか半開き。


こちらを凝視されしばらく、布団から色白い手が出てきて戸の横辺りを指差す。そこには少しの書類が置かれている座卓。色白い手は次にこちらを指差す。「そこへ置け」と言う意味なのだろうか。


「ごくろうさん。何やっているんだ?そんなところで」


隊長だけが着用を許される隊主羽織をひるがえしながらやってきた我らが浮竹隊長。


緊張と驚きから声が出ず、布団に入っている人物を指差す。


差された方を見た浮竹隊長は状況を理解したらしい。いつものように微笑みながら布団の横に胡坐をかき、中にいる人物の頭を撫でる。


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