第2章 ある日の雨乾堂にて
「まだ紹介していなかったな。コイツは氷室水月。同じ十三番隊の仲間だ。隊長補佐って形で俺の代わりに尸魂界中を駆け回ってくれているんだ。今日も数日振りに帰ってきたばかりで、眠そうにしてたからここに寝かせたんだ。驚かせて悪かった」
隊長補佐がいるとは初めて知った。尸魂界中を駆け回っているため殆ど帰ってこないと言うことだろうか。
「それ書類だな?ありがとう、助かるよ」
慌てて隊長へ書類を渡す。「失礼しました」とこの場を去ろうとしたら浮竹隊長に呼び止められる。
「性格が少しアレだが、悪いヤツじゃない。今度改めて紹介するよ」
書類を整えながら言う隊長に「分かりました」と言い、今度こそこの場を去る。布団の人物が見えなくなるまで半開きの目がこちらを見ているような気がした。
他の隊士達が居る場所へ戻り雨乾堂での出来事を話した。
「あぁ、氷室さんだろ。まだ会ったこと無かったのか?」
「知りません!」と返せば先輩は隊長と同じく「今度紹介してやるよ」と。
「隊長のコレかと思っただろ?」
小指を立てる先輩。一瞬でも思ってしまったので否定できない。
「女だからって甘く見るなよ。実力は隊長達とあまり変わらないらしいからな」
本日何度目かの驚き。でも隊長補佐を任されるくらいの人ならかなりの実力が必要だろう。
「ちなみに、浮竹隊長と京楽隊長と同期らしいぞ」
そう言いながら自分の机に戻っていく先輩。同じ日に何度も驚いているが、先輩の最後の一言が、この日一番の驚きになった。