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鏡越しの体温【リヴァイ】

第5章 絡まる視線


あ、あの人…。

あの時の声が再び耳に木霊し眠気が一気に吹っ飛んで心臓がトクンッと跳ねる。

書類を持ってるってことは…まだお仕事中なのかな?

掛布を膝に掛けたまま、体育座りして暫く鏡を見つめていると男の人はソファーに腰掛けて足を組みただただ書類に視線を向けている。

重大なお仕事なのかな…てか、それよりも何のお仕事してるの?

気になり過ぎてじーっと彼が持っている書類を見つめる。

何とか…チラッとでもいいから見えないかな…?

体育座りから立ち上がりベットを降りて四つ這いで静かに鏡へと近寄る。

音を立てても向こうには聞こえないだろうからそんなに慎重にならなくてもいいんだけど…。

無意識に変に緊張しちゃって…気付かれないようにって思っちゃう…

ドキドキしながら鏡の前に座り込み食い入るように覗き込めば…
何を彼は察したのかさっきまで書類を見つめていた視線が私の方へと向き…完全にバッチリと目が合ってしまった。


心臓が勢いよく跳ね上がって上手く息が出来ない。

え…?気付いて…る訳じゃないよね…?

前もあったけど…一体何を感じてこっちを見てるの?

頭の中が真っ白になって固まっていれば、彼は書類をデスクに置きゆっくりこちらへと歩みを進めてくる。

え…え、え…!?こ、こっち来るんですけど…!?

パニック状態になっちゃって体が動いてくれない。

じっとしていると、彼はあの時と同じように手を鏡に置きこちらを覗き込むように見てくる。

お互い視線は外さずに。


緊張感と冷や汗が止まらない中、静寂を破ったのはあの時と同じく彼からだった。


『…そこに居るのは誰だ?』
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