第14章 初恋の君と (角名倫太郎)
店内に戻ると俺を見つけるなり笑顔を見せる彼女。
『角名くん見て!さっきより綺麗に焼けたの!』
「ほんとだね、食べてもいい?」
『もちろんだよ!』
笑顔を見せてくれるたび、名前を呼ばれるたび、勘違いしそうになる。俺以外にそんな可愛い笑顔を見せないで欲しい。その声で呼ぶのは俺だけがいい。
『角名くん?』
「うん?」
『ううん、そんな見られると照れちゃうなあって笑』
「っあ、ごめん。可愛いなって…つい。」
『え?』
「可愛いなって思って見てた」
『ちょ…っともう、からかわないでよ〜』
「はは、ごめんごめん」
もういいかな、、?
いいよね。
彼氏がいるとか知らないし。
俺だって。いや俺の方がずっと前から好きだし。不安になんて絶対させない。ちゃんを幸せにするのは俺じゃなきゃ嫌だ。
だからもういいよね。十分我慢したよ。
〜♩〜♩
「さんスマホ鳴ってますよ」
気づいた後輩がちゃんにスマホを手渡す。
『ありがとう、出てくるね』
画面に表示された名前を見るなり小さなため息をついて、それからまたいつもの笑顔に戻って俺たちに一言告げて店の外へと出ていってしまった。確信なんてないけどきっと彼氏からなんだと思う。
盗み聞きなんて良くないとは思いつつ俺も彼女を追いかけて店の外へと出た。
『もしもし。どうしたの?』
《いや、会いたくなっちゃって》
『そんなこと言うの珍しいね』
《彼女がせっかくこっち帰ってきてるなら会いたいと思うのは彼氏として普通のことだと思うけど》
聞こえてくる会話にグサグサと心臓を刺される。
『今日友達と出かけてるんじゃなかったの?』
《うん、でもさっき解散した。はまだ中学の集まり終わってないよね?》
『こっちは今盛りあがってきたところ』
《会いたいから帰ってきてよ。んち誰もいないんでしょ?2人で映画でも見ながら話そうよ。だめ?》
『でも…せっかく久しぶりに集まれたから。』
そうだそうだ!
お前の元になんか帰すかばかっ!