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今宵は誰の腕の中で眠りますか⋯?

第14章 初恋の君と (角名倫太郎)



彼女の家の前についてスマホを鳴らすとすぐに出てきてくれた。

「さん!」

『わー!引越しの日ぶりだ!髪の毛巻いてる可愛い!その服もあげたやつだあ!』

俺よりも先に妹を視界にいれたちゃんがぱあっと笑顔になった。彼女に似合いそうだと思った服はお下がりだったのか。

「気づいてくれて嬉しいです…!この服も1番お気に入りです!」

『嬉しいなあ…!あ、そういえば私が抜けたあと男バレのマネージャー引き継いでくれたって聞いたんだけど本当?』

「はい!さんの抜けた穴はだいぶ大きいですけど少しでも埋められたらなと思って。」

『先輩が助かるって言ってたよ、ありがとうね』

「あ、先輩が。それは良かったです…!」

妹の表情からその"先輩"がちゃんの彼氏だってことが一瞬で読み取れる。あと男バレのマネやってるなんて今知りましたよお兄ちゃん。何も教えてくれねえのな!?

『角名くんの私服見るのも久しぶりだ!相変わらずスタイルいいね!』

「そんなことないと思うけど…ありがと。ちゃんは相変わらずおしゃれだね。」

『最近買ってお気に入りなの!』

あ、彼氏のために選んだりとか…したのかな。浮気するようなやつなのに…?好きな人の好きな人が自分じゃないのってこんなに辛いんだっけ。

「いや、すごく似合ってる…可愛いよ」

『ありがと角名くんっ』

中学の時はもしかしたら両想いなんじゃないかとか自惚れてた。俺だけ名前呼びだったのとか…バレンタインのチョコが他の人より少し多かったりとか…そんなのきっと彼女にとっては特別でもなんでもなかったのに。

「あの、さん今日のことって先輩には…」

『もちろん言ってあるけどきっと興味ないんじゃないかな…?あっちも予定あるって言ってたし。』

「そんなこと…っ」

『心配してくれてありがとうね。もう慣れたから平気…かな。』

「さん…」

きっと平気なんかじゃないのに。声だって少し震えてる。そんなに好きなの?俺の方がずっとちゃんのこと好きなのに。手に入れたらもう興味ないなんて…そんな男やめなよ。
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