第6章 別れ
当時、まだ14歳だったリンは
父親の遺言で暁辰会を継ぐことになった
信じられないような出来事は
更に続いていく
襲名式の夜に暁辰会の屋敷で起こった銃撃事件で
リンの親代わりだったセツナが死亡し
彼女自身も左肩を撃たれた
ニュースで事件を知り
オレは病院に駆け付けた
少ししてマイキーとドラケンも病院に来たが
既に二代目の身となっていた彼女には会わせてもらえなかった
次に彼女の姿を見たのは
血のハロウィンで命を落とした場地の葬儀の席だった
斎場に飾られた場地の遺影の前に立った時も
棺に花を入れる時も
リンの瞳に光はなかった
そんな彼女のことが気掛かりだったオレは
葬儀の後の火葬場で
場地の母親と話をしているリンの方をずっと見ていた
携帯の画面を開きながら何かを話していた時
突然、場地の母親が泣き崩れた
撃たれた肩を庇いもせず、場地の母親を抱き止めたリンを助けるために近付こうとしたオレは
全身に寒気を感じ、足を止めた
さっきまで何の感情も映していなかったリンの瞳は
黒く見開かれ
炎が宿っているように見えた
オレはこの時
彼女が復讐を胸に誓ったことを確信したのだった
場地の葬儀の日を最後に
マイキーはリンから離れた
彼女が撃たれた夜
リンの幼馴染であり、半地下組織『刄鬽亂(バビロン)』のリーダーだった "沢村アラン" とふたりきりで話をしてから
リンを守るための一番いい方法は何なのかをずっと考えていたマイキーは
暁辰会の頭であり続けることこそが、彼女にとって最も安全だと答えを出し
リンの気持ちがブレないように、自分からの連絡を絶つことを決めた
その後も
オレたちは抗争に明け暮れた
クリスマスに黒龍を潰した東卍は
その2ヶ月後には天竺との抗争にも勝利した
東卍を頂点へ導き、天下を取ったマイキーは
それから僅か2週間後に突然チームを解散させ
オレたちと決別したのだった