第6章 別れ
付き合うことになってからのマイキーとリンはとても仲が良く、互いを大切に想い合っている様子は側から見ていてもとても微笑ましかった
他の東卍メンバー達も、これまでの"無敵"と謳われている総長の顔とは違うマイキーの穏やかな一面が見られたことをみんな嬉しく思っているようだった
リンの存在は
オレたちのチームから歓迎されていた
マイキーの彼女になってからも、リンのオレたちに対する態度は変わらなかった
場地や千冬、パー達と一緒にリンを囲んでワイワイ話をしていると、ヤキモチ焼きなマイキーは不満気な顔をすることもあったけれど
そんなマイキーをからかう事も含めてオレたちは楽しい時間を過ごしていた
東卍の空気が変わったのは
その年の夏頃からだった
パーの逮捕
東卍を分裂寸前にまでさせた
マイキーとドラケンの対立
83抗争ではドラケンが刺され
瀕死の重傷を負った
そして
新しく結成した芭流覇羅というチームが宣戦布告をしてきてから間もなく
集会で問題を起こした場地が
芭流覇羅に行くと言って東卍を抜けてしまった
芭流覇羅には
年少を出てきたばかりの一虎も居た
誰かが陰で糸を引いているとしか思えないような
不穏な出来事が続くなか
とうとう
東卍総長の彼女であるリンまでもが狙われた
知らせを受けたマイキーがギリギリで間に合い
リンが拉致される事はなかったが
その夜の緊急幹部会に現れたマイキーは
静かな怒りをたたえた異質なオーラに包まれていた
それからマイキーは
集会にリンを連れて来なくなった
芭流覇羅との緊張が高まり
東卍全体の空気がピリピリしていたこともあるが
プライベートで一緒に出歩くこともやめてしまったようだった
2人はマイキーの家の中だけで会うようになり
違う中学だったオレがリンの顔を見ることはなくなった
そんな中
10月も終わりに近づいたある日
リンの父親であり暁辰会の頭・暁 辰彦が
事故で亡くなった