第4章 dress
食事の後
片付けを終えて部屋に戻ってきたリンは
隣に座ってオレの手先を見つめた
静かに流れる時間の中
彼女の横顔がすぐ側にあった
指を伸ばして触れることができたら
もう他には何も要らないとさえ思ったけれど
オレはどうしても行動を起こせなかった
彼女を困らせたくなかったからだと
後から自分自身に何度も言い訳をしたが
本当は2人の関係が壊れてしまうのが怖かったんだと思う
そう
結局オレは
自分が傷つくのが何よりも怖かったんだ
その日の夜
マイキーが家を訪ねてきた
「……三ツ谷……昨日はゴメンな…」
「…マイキー………オレの方こそ…皆の前で悪かった…」
オレの言葉に
ホッとした様子のマイキーが言った
「……ここに来る前にリンにも謝ってきた……アイツ…許してくれたよ…」
「……」
「…三ツ谷……オマエが怒ってくれたおかげで…仲直りできたんだ……ありがとな…」
感謝を表す言葉が
まるで呪いのように心に重くのしかかってくるのを感じた
「…………そっか……良かったな……」
動揺を押し殺してそう言ったオレに
マイキーは太陽のような笑顔で頷いた