第4章 dress
集会の次の日
オレは元々リンと会う約束をしていた
彼女から、パーティーで着るドレスを買うのにいい店を知らないかと聞かれた時に
そういう事なら自分に見立てさせて欲しいと言って取り付けた約束だった
待ち合わせた原宿駅まで自転車を飛ばすと
時間よりだいぶ早く着いてしまった
昨夜のことが気になっていたのもあったが
何より彼女と2人きりで会えることが嬉しくて
俺は少し浮かれていたんだと思う
けれど
改札口から出て来たリンの顔を見た時
そんな気持ちは全てどこかへ消し飛んでしまった
一晩中泣いていたかのように
赤く腫れた目元
それは
彼女のマイキーへの想いの強さをそのまま表しているようで
オレは何も言うことが出来なかった
気持ちを切り替えてショップを見に行った後
選んだドレスのサイズ調整をするためにリンを家に連れてきた
その頃にはもう
いつもの笑顔が戻っていて
彼女は縫い物の途中で手が離せないオレの代わりに
昼ごはんまで作ってくれた
『…ルナちゃんとマナちゃんも…お手伝いしてくれるかな?』
はしゃぐ2人に優しく料理を教えているリンの声が自分の家の台所から聞こえてきた時
何とも言えない幸せを感じたオレは
"この時間が、オレ達の日常になってくれたらいいのに"などと
柄にもないことを考えていた