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ラヴレター─君が遺した日記─

第3章 彼女の真実


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「ありがとう御座います」



僕はマスターからエスプレッソのカップを受け取ると

ソレを一口飲んで、テーブルの端に置いた


ソレから、半分ほど読み進んだ日記を開いて

また、読み始めた











──5月11日──





今日は、母の日


お母さん、産んでくれてありがとうの日だ


ん?


それはちょっと違ったかな?


それはそうと、私は声を大にして言いたい


ホントに、本当に


お母さん


私を産んでくれて、ありがとうって


だって、そのお陰で


私は、章くんに出逢う事が出来た


確かに、私の寿命は、平均的な日本人女性のそれよりも、遥かに短いかも知れないけど


人間、いつ何時お迎えが来るか何て、誰にも解らないものだ


健康な人だって、明日事故で死んでしまう事もある


私はただ、人より早く死ぬことを、事前に知っている


それだけだ


ある意味


ある日突然事故で死んでしまう人よりも、遥かに幸せだと言えるだろう


だって、私は知っている


自分の命の期限を


そのお陰で、私はその事についての覚悟と心構えってものが出来ている


その分


急に死ななくてはならない人よりも、心残り的な事は少ないハズだ


…その、ハズだ





でもさ、章くん


私、やっぱし悔しいな


貴方の未来には


確実に、私は傍に居ないんだから


こんな


「覚悟は出来ている!」


何て男前な事言ってる私だけど


本当はね、











「………」



その日の日記は

其処で途切れていた



僕は暫くの間

まるで、何かを書こうとして躊躇った様な行間を見詰めていた



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