第2章 目覚めた先で見た世界
結莉乃
「ぁ…!寝ちゃってた!………え…?」
眠って数分だろうか…深くまで意識を持っていかれる前に結莉乃の瞼は、ぱっと持ち上がった。
だが、彼女の視界に広がったのは自室では無く夜が広がる外だった
結莉乃
「え、夢遊病みたいな?無意識に外来ちゃった…?」
予想外の事と眠りから覚めたばかりの頭では周囲の異常さに気付く事が出来ず、結莉乃の黒い瞳はマンションを探して揺れる
結莉乃
(浴衣?お祭りでもあったのかな?…取り敢えず声掛けてみよ!)
マンションを探していた瞳が浴衣を着た数名の男性の姿を捉え、彼等にマンションの場所を聞こうと近付く
結莉乃
「あのー…すみません。〇〇マンションって何処ですか?」
控え目に掛けられた声に反応した男達が振り向き、そのうちの一人が眉間に皺を刻んで口を開いた
男
「あぁっ!?んだてめぇ、殺されてぇのか!」
結莉乃
(えぇ…尋ねただけで命奪うの?凶暴過ぎない?)
突然向けられた物騒な言葉に身が引き気味になるものの、彼等の手元できらりと光る長物が見えて
結莉乃
「ん?…あ!すみませんっ…何かの撮影でしたか!?」
浴衣に刀…そして、落ち着いてきた頭で周囲を見れば良く目にするビル群も車もなく、昔に来た様な町並みに結莉乃はドラマか映画の撮影中だったのだと理解した。
だが、どうせ邪魔し撮影を止めてしまったのなら…と好奇心が溢れ、もう少しだけ傍若無人な態度に出てみる事にした
結莉乃
「おーしかし、リアルですね!何の映画だろう。これとかも本物みた……ぇ?えぇ!?痛った!え、本物!?!?」
彼女の自由さに呆気に取られている一人の男の刃物に触れると、結莉乃の白い指に赤い線が生まれる。そして、それが偽物では無かった事への衝撃に目を丸くする
男
「さっきからごちゃごちゃとうるせぇなあ!何だその奇妙な格好は!」
結莉乃
「ひぃっ…!」
彼女が騒いでいる間にじりじりと彼女を囲む様にしていた男達のうち一人が、痺れを切らし声を荒らげ刃物を振り上げる。結莉乃も流石にまずいと理解し逃げようとするものの…金縛りにあった様に身体が動かなくなってしまう