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「鬼の花嫁」世界に迷い込む

第2章 目覚めた先で見た世界




眞秀
「結莉乃も一緒に見れたら良いな、桜」


ぼーっとそんな事を考えている時に掛けられた言葉は、彼女の意識を戻すには充分だった。


結莉乃
(眞秀くんと桜見れたら良いな…でも、正直に言ってしまえば…やっぱり元の世界に戻りたい)


推しが近くに居る、その事実はこの上なく嬉しかったものの…矛盾していたそれは最終的にちゃんと答えが出ていた。
どこか寂しげな表情を浮かべる結莉乃を横目で見た眞秀は、返事を聞く前に新しい話題を投げた


眞秀
「結莉乃がいた世界にも桜はあるか?」

結莉乃
「え?あ、うん…あるよ。お花見って口実つけてご飯食べたりする人もいるよ」

眞秀
「ははっ、花より団子ってやつだな。花見はそっちの世界にもあんだなぁ…結莉乃は花見好きか?」

結莉乃
「お花を見るのは好き、桜も。…でも、人混みが苦手でご飯食べたりはしないかな」


まだ咲いていない目の前の桜の木を見ながら結莉乃は言葉を紡ぐ


眞秀
「んなら、此処で花見すりゃ良い」

結莉乃
「え?」

眞秀
「此処には住んでる奴等以外にこの桜は見ねぇからさ。此処なら人混み気にしなくて良いだろ?」


まるで元の世界に帰れなくても、まるで自分が此処に居て良いと言われている様で結莉乃は戸惑いつつも胸が暖かくなるのを感じる。

彼のこういう所を好きになって推したんだと、改めて認識する。


結莉乃
「ありがとう、眞秀くん」


緊張で強ばった表情か慌てた表情しか見せていなかった、結莉乃が柔らかく笑んでいるのを初めて見た眞秀は安心した様に小さく息を吐き出す


眞秀
「寝られそうか?」

結莉乃
「うん、眞秀くんのおかげで眠れそう」

眞秀
「そうか、良かった。んなら、ゆっくり休めよ」

結莉乃
「付き合ってくれてありがとう。…眞秀くんもゆっくり休んで」

眞秀
「嗚呼。おやすみ」

結莉乃
「おやすみなさい」


去っていく背中を見送り部屋に戻ってから思い出す


結莉乃
「あ!羽織返すの忘れてた…」


ゲーム内では場所移動が場面転換だった為に彼の部屋など分からず…起きてから返そうと決め、結莉乃は布団に再び横たわり目を閉じると今度は眠る事が出来た



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