第11章 二度目の新婚旅行、の巻
「…え?日本語解るの?」
「スコシ、ワカル、マス」
女の子はもう一度同じコトを言った
「アナタハ、リョウ、デス、カ?」
「ううん、違うよ?僕は智…大野智と言います」
「サトシ?リョウジャ、ナイ?」
「うん、リョウなんて人じゃないよ?」
「……」
その子は僕の前にしゃがむと、僕の顔を覗きこみながら言った
「アナタ、ニテル、イチバン、イママデノ、ヒトノ、ナカデ」
「似てる?…今までって…」
「ココ、サムイ…クル、ワタシノ、ヘヤ」
「え?…イイの?」
その子は立ち上がるとニッコリ笑って頷いた
「有り難う!…あ、君の名前は?」
「アリス、デス…ヨロシク、サトシ」
「うん、宜しくね」
僕は差し出されたアリスの小さな手を握った
「Σえぇ!?
じゃ、じゃあ何人も誘拐されてココに連れて来られた人がいたの!?」
「…ハイ」
僕はアリスに連れられて、なんとか彼女の部屋に辿り着いたんだけど
改めて見たその建物は、家では無く「城」と言っても過言ではない代物だった
だけど、それもその筈で
ココは由緒ある伯爵家の家で、彼女はその伯爵家のお嬢様だったのだ
そして、僕はアリスの部屋で、暖かいミルクティーをご馳走になりながら、衝撃の事実を聞かされていた