満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第44章 第三者の恋心《宇髄天元》
「おー、わりぃ、出てた」
ガチャリと扉をあけるおとがして、大男が入ってくる。
「課題プリント持ってきましたー」
「はいはいごくろーさん」
手に桃色の手紙のようなものを持つ宇髄は、それを机に置いて、課題プリントを受け取り、手紙の上に乱雑に置き、すぐにキャンパスに向かった。
「ーーラブレターっすか。相変わらずモテますね」
「あ?まーな」
さして興味がないのか適当に答えて絵の具を調合している。
「ウズセンってさ、生徒との恋愛って有りなの」
「ねーな」
その質問を聞いて、宇髄はこちらを振り向きもせず即答した。
なんだよあいつ。叶わない恋してんじゃねーか。
それでも何か引っかかる俺は、宇髄に尋ねる。
「俺さ、好きな人いるんだよね」
「…はは!青春してんなー。ド派手に告ってド派手にいけよ」
生徒が急に恋愛相談と来たものだからか。
宇髄はくるりと椅子ごとこちらを振り向いて、カラリと笑った。
「同じクラスの澤村波奈」
そういうと、一瞬、ほんの一瞬宇髄の顔が曇った。それを俺は見逃さなかった。
胸騒ぎはどうやら間違ってなかったのかーー。
「どう思う?先生」
挑発するように語りかける。
ーーーーと、俺を見る宇髄の目つきがガラリと変わった。紅の瞳が俺の目をじぃと見つめる。
「…へえ。お前波奈のこと好きなんだ」
呼び捨てーーー!
それに動揺していると、宇髄は椅子に背を預けて、片足を膝に乗せて、腕組みをした。
その仕草、警戒心か?それとも挑発か?
ぐっと堪えてさらに聞く。
「そう。これから俺めっちゃ押そうと思って。
可能性あるとおもう?」
「…さーな。知らねえよ」
「教師と生徒よりはあると思うけどね」
「ーーーはっ」
イラついたような宇髄が鼻で笑った。
それからこちらを睨んでこう言った。
「やれるもんならやってみろよ。
ま、波奈はそう揺るがねえと思うけど?」
揺るがないって一体なんだよ。
澤村の、宇髄への気持ちのこと言ってんのか?
宇髄の苛立ったその先には余裕そうな瞳がこちらを面白がるように見つめる。
「ま、せいぜいがんばれよ」
大きな掌が俺の頭をわしゃわしゃと撫で、トンと小突いた。ガキ扱いすんなって。
美術室ではバチバチと火花が散るような音がしたーーーー。