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満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】

第36章 血鬼術を解いてよ宇髄さん1※


女将に声をかけて、料亭の2階部屋に案内された。
波奈はおずおずとついてくる。
こじんまりとした個室に通された。

「あの、…音柱さま、」

「なんでも好きなの頼め」

ん、と品書きを差し出すと、状況について来れない波奈が慌てふためいている。そんな波奈の様子は面白い。からかいがいがあっていい。

「えらいめに合ったな。お疲れさんっつーことでなんでも頼んでいいぞ」

「え…いいんですか?ここすっごく高そうですけど…」

心配そうに見つめる波奈に、思わず笑ってしまう。

「ガキがお金の心配してんじゃねーよ。柱の財力なめんなよ」

ふふんと偉そうにしてやると、波奈は、ほんとですかぁ…!とみるみるうちにパァと明るい顔を見せて内心ほっとした。


波奈は品書きを見つめてうーんうーんと悩んでいる。
その様子を頬杖をつきながら見る。

まあ、可愛いか可愛くないかで言うと可愛い。
薄茶色の髪はつやつやしていて、キュっと後ろでお団子にまとめている。
目はくるんと大きく、薄茶色の瞳は優しげで、瞼は少し垂れていて、それがまた優しい印象を与えるようだ。
色白で赤くなればすぐに分かってしまい、薄い唇はさくらんぼみたいだ。
細い首の下は、蝶屋敷の白衣を見に纏っていて、桃色の帯でキュッと蝶結びしている。
笑うと目がふんわりと細くなり、愛らしいその笑顔はほわほわと周りも明るくなる、春みたいなやつだ。

蝶屋敷にいる女の子が可愛い、と一般隊士が騒いでたのを、興味はないが耳が良い宇髄は自然と聞いたことがある。
この器量のいい外見と、ほわほわした春の桜みたいな雰囲気の子をみて、この子があの一般隊士が騒いでた子か、とすぐに理解した。
外見や雰囲気だけではなく、一生懸命に怪我人や病人を気遣い対話し、看護を献身に行なう波奈の姿を見れば、自然と好意的に思うものだ。

今だって、真剣に品書きにむかって悩む姿は見ていて飽きないと言うか、まあ面白い。

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