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満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】

第31章 答えはでない《不死川実弥》


「…なんかあったんなら言え。…な?」

と優しく微笑んで、でもその瞳の奥は心配そうだった。
くしゃりとそのまま髪の毛を解くように優しく触れられた。

波奈はもうたまらず、ぽろんと一筋涙が流れてしまった。

「?!な、え、?!大丈夫かァ?!」

パッと頭から手を離した不死川は、おろおろと焦った。

「ごめんなさ…っ!泣くつもりなんてなかったんですけど…っ」

一度流してしまったあとはもう次から次へと涙は止まらなかった。
ぐすぐすと手で涙を掬う。
止まって、もう、こんなの、先生が困ってるーーー。

不死川はハア、とため息を吐き、波奈はそれを聞いてグっと堪えた。
バカ、ちゃんとした彼女でもないくせに、泣く権利なんて、わたしにはないのにーーー。

「…お前さぁ、もしかして俺が女の人と歩いてただのって、気にしてんのかぁ?」

呆れたふうに不死川は言い放つ。
その通り、図星だった。
ぐすぐすと泣きながら、こくりと波奈は頷いた。

「と、ともだちが…写真撮ってて…見ちゃったの」

「まあ…お前らが考えてるようなことじゃねェよ。

あれは、母親」

観念したようにぼそっと不死川は言った。

「う、うそだあ…」

「…ほんとだって」

「で、でも、先生、腕組んでた…」

「…あーーー…良い歳してよく絡んでくんだよ、やめろっつってんだけどよォ」

ん、と不死川はスマホの画面を波奈の前に差し出した。
そこに写っていたのは、不死川家全員の家族写真だった。
優しそうな母親が、不死川の腕を取り、楽しそうに微笑んでいる。
その母親の顔は、紛れもなく友人のスマホの中の女の人だった。


「そ、そうなんですね、わたしてっきりーーー」


安心して力が抜けたのか、また涙が溢れてきた。
良かった、先生の彼女じゃなくて。お母さんだったんだ。
っていうかお母さん若すぎない?綺麗すぎない?
ぐすんぐすんと泣く波奈を、また不死川はぽんぽんと頭を撫でた。


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