満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】
第30章 初めて触れるヒト《宇髄天元》
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おいおいマジかよ…。
電車がこんなに密だとは思わなかった。
宇髄は腕を壁についてバランスをとりながら、この状況が衝撃だった。
普段は車通勤、電車に乗ったことはあまり経験がない。
なのでこんなにも他人が近くにギュウっと詰め込まれるのは、ショックだった。
胸の中で顔を赤くさせてドギマギしている女生徒を見下ろす。
こんなにこいつに近づいたことなど今までだってなかった。
それが彼女の顔を赤くさせている所以であるが、ぐっと身体の距離が近づいただけでそんなおぼこい反応をするのは可愛いとも思った。しかしながら、この自分も波奈のシャンプーの甘い匂いが鼻腔を擽るだけで、くらくらとめまいをおこしそうだった。
それに加えて、
こんな、男どもの他人が混在している電車に、波奈が毎朝?
まじでかよ…
と宇髄は様々な感情が混在して胸中穏やかではない。
しかも、触られたかもしれない、なんて割とケロッとして言うのだ。しかも聞くところによるとぼけっとしてるせいか3日も同じように接触されたようだ。こいつはばかか?
腹の底から沸いてくる怒りをなんとか鎮めようとするも、イライラはなかなか止まってはくれない。