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満月の夜に【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎 宇髄天元 R18】

第26章 寝不足の彼女※ 【宇髄天元】


「ただいまー」

玄関のドアを開けると同時に呼びかける。
いつもは慌ただしく、嬉しそうにお帰りと出迎えてくれるが、返事はない。

「…波奈?」

リビングのドアを開けるが、灯がついてない。
リビングの灯りをつけると、ソファーで横になる波奈の姿が見えた。

…寝ていらっしゃる。

エプロンをつけたまま、上半身を横にした波奈が、くーくーと静かな寝息を立ている。起きる気配はない。

めずらしいな、居眠りなんて…
そのままその可愛い寝顔をぼんやりと見つめた。


『ちゃんと夜は寝かしているのか?』

昼間の煉獄の、呆れたように言う言葉をふと思い出す。

って彼女はもう子どもじゃあるまいし。
…いや。数ヶ月前は、彼女は高校生で、俺の生徒で、子どもだった。守り慈しむ存在だった。教員として。

一線を超えてからは、確かに俺は歯止めがなくなってしまい、暴走しつつある…、そんな自覚は確かにあった。
しかし、我慢の3年と少しは驚くほど長かった。今思えばよくあそこまで我慢できたと自分を自負したい。
…押さえ込んでいたモノが、どくどくと爆発し、流れ出してしまうのだ。…申し訳ない。波奈。許してくれ。

波奈を見ると、俺の憂事は素知らぬ顔で、すやすやと眠っている。
波奈が眠る横に座り、波奈の前髪を撫で上げると、波奈はピクリと動くが、気持ち良さそうに寝ている。…起きない。少し開いたピンク色の口はとろんとして、少しゾクっとする。藤色のエプロンを見ると、今日の朝にそれを解き、波奈を後ろから抱いたのを思い出した。…これだけで反応してしまうのだ。
自分は本当にだめだな。自制していかなくては。

は、とため息を吐く。

「…ん、…うずいさん…?」

「起きた?」

「寝ちゃってた…」

「…ん、も少し寝れば?」

「…だいじょぶ…おきる…」

むくりと起き上がり目を擦る波奈は眠そうだ。
あぁ、ほんとーに疲れてるんだな。
俺は波奈の様子を見て、一旦波奈を抱くのは当分我慢しよう…そう思った。

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