第12章 その名の意味
「_____よ。___もる、から____て____『ユウ』」
ポロリ、ときつく瞑られた瞼から、一筋の雫が落ちる。
「・・・・一体、『ユウ』って、誰なんだよ。それに・・・背中のその『跡』。そいつは__________お前、一体、何を抱えてんだ」
『ユウ』は、明らかにこいつの名前ではない。男名として呼べとこいつが使った名前。
『ユウ』は、きっとこいつにとって大切な人間だ。そいつを探しに船を出ようとしたのか?
そんな考えがよぎりながらも、未だ熱の引かない女の溢れた涙を指先で掬い取る。