第20章 新婚旅行
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「御ゆっくり」
仲居さんがニコニコしながら部屋を出る
「あの仲居さん、僕の事女の人だと思ったみたいだね」
智くんが悪戯っぽく笑う
「もう、心臓止まるかと思ったよ…しんしん新婚…」
「だってそうじゃん、これって新婚旅行でしょ?」
ちがうの?って、殺人的な可愛さで小首を傾げる
「ちちっ…違わない…かも」
確かに、たっぷりめのカーディガンに、ジーパン姿の智くんは、女の子に見えない事はない
長い前髪を下ろした智くんは、凛々しい眉が隠れて、まるで、少年の様な、少女の様な…
(…この人、本当に30かな?)
俺は、可愛い顎をむにむにいじって、なにやら考えている智くんの顔をまじまじと見た
と、暫く考え込んでいた智くんが
頬に手を当てて、悪戯を思いついた子供みたいな顔をして言った
「ねぇ、翔くん、せっかくだから僕、女の人のフリしようかな?」
「Σでぇえ!?」
智くんは片手を頬に当てたまま、首を傾げた
「んー、翔くん、僕…ワタシのこと“智くん”って呼んじゃダメだよ
じゃなくて、だめよ?」
(わたわたっわたしっ?!)
「えっとねぇ…じゃあねぇ…“さとちゃん”!…ね?」
智くんが眼をきらきらさせて俺を見る
「…ささ…さとちゃん」
「なぁに?あなた♡」
(Σあああっあなたぁあっ!?)
「//////」
「うわぁ!翔くんっ!鼻血ッ!!///」
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櫻井翔、29才
智くんの“あなた”呼びで
撃沈です
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