【MARVEL】This is my selfishness
第7章 7th
「多分0時回る頃に店に行くと思う」
アパートに戻り、バッキーはランチに行く前に乾燥機に突っ込んでいた洗濯物を取り出し、部屋の前でそう言った。
『わかった。じゃあまた夜に』
互いに手を振りあって部屋に入る。
部屋に入って1人になった途端、笑みが溢れてしまう。
明日は久しぶりにバッキーがわたしの部屋に来る!
引っ越してきてお茶会をわたしの家でした以来だ。
月曜日のお茶会も兼ねて私の部屋でしてもいいかもしれない。あ、でも空を眺めたくなるかな?
自分はほとんど飲まないし、バッキーが自分でお酒を持ってくるつもりみたいだけどわたしも何か準備しとこうかな?おつまみは確実に必要。
ワクワクしながら明日の事を考えていると、仕事の時間まであっという間だった。
いけない。仕事中もこんなワクワクしっぱなしだったらヘマしちゃう。
ペチペチと自分の頬を軽く叩いて気持ちを切り替えて、仕事着に着替えて部屋を出る。
バッキーがお店に来ることも分かってるからか、自然と足が軽い。
『おはようございます』
お店に入ると、ロンさんとルドルフさんが何やら難しい顔をしていた。
わたしに気付くと、2人は顔を上げて挨拶を返してくれた。
『どうかしたんですか?』
「ちょっとやらかしちゃってね〜」
『え?』
「この間、アレックスちゃんに練習としてお酒の仕入れをお願いしたんだけどその時に入荷数を間違えちゃったみたいでねぇ」
「いつもの倍以上の酒が届いたって訳だ」
ロンさんの言葉をルドルフさんが引き継いだ。
なるほど、確かにお酒の入ったケースがいつもより高く積み上がっているし、場所も広くとっている。
「私の確認ミスねぇ…賞味期限がどうこうはなくてもちょっと邪魔よねぇ…」
「多少はスペシャルメニューとして消費できるとは思うが…」
お酒には基本的に賞味期限はないものの、瓶に入っているものがほとんどで、割れ防止のためのケースに詰められているため、嵩張って広く場所を取ってしまう。
それ故に発注する時は少し余分があるくらいの数を発注するようにしている。