【MARVEL】This is my selfishness
第8章 8th
モゾモゾとブランケットの中で右手だけシャツの中に入れて、銃口が当てられた部分を触ってみると、やっぱり火傷になっているようで当たると一際ひりついた。
『ッ、……』
「どうした?」
モゾモゾしていたこともあってか、わたしが少しの痛みに反応したのをバッキーにはすぐに気付かれた。
でも大したこと無さそうだし、わざわざ言わなくてもいいよね…。
『なんでもないよ。映画、観に行ったのがだいぶ前に感じるけど…同じ日にあったことなんだよね』
猫(もどき)になったこと、翌日には映画鑑賞会をして寝落ちしたこと、そしてまた翌日には映画を観に行ってパーティーに行くことになって、最終的にパーティーの主催者であるレオポルドさんが捕まるという衝撃的なラストで終えた。
連日の出来事があまりにも印象が強くて目が回りそうだ。
2連休の間に起きたこととは思えないほど濃かった。
明日からわたしは日常に戻るわけだけど、そう簡単に忘れられる出来事じゃない。
「そうだな」と相槌を打ちながらバッキーは一旦離れて灯りを消しに行き、何かにぶつかることもなく戻ってきた(ぶつかるような物すらないミニマリストな部屋だからかも)。
「今度また映画鑑賞会開いてくれないか」
『ン〜、いいよ…』
今度は何をオススメして一緒に観よう?
【次】までに色んな作品を観ておくのもいいし、鑑賞会で新たに開拓してもいいなあ……
話をしている途中で言葉がだんだんと途切れ途切れになっていき、ついには呼吸だけが聞こえるようになった。
静かな空間に規則正しい呼吸音が聞こえるのがとても心地よく、睡魔が優しく襲ってくる。
バッキーはミアにしっかりとブランケットをかけ直し、隙間なく自分にもたれ掛かるようにさせてミアの頭に内緒のキスを一つだけ落とした──────