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【進撃の巨人】片翼のきみと

第12章 壁外調査



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アルルは初陣だったか。

リンファは数回目だ。

同室の二人が壁外調査に行くことが、不安なのだろう。無理もない。



アルルは比較的巨人との遭遇率は低い隊に位置しているが、それでも圧倒的に死亡率が高いのは初陣の新兵だ。

初めての巨人を目の前に、腰が抜けて一歩も動けないまま食われる奴も少なくない。

リンファやサッシュは過去の経験も豊富で能力もある。それぞれ索敵の最前列に配置している。最も巨人との遭遇率が高い隊だ。




ナナのよく知った誰かが死ぬのは、確かだ。




ナナにかけてやれる言葉はしれている。

後悔しないために、「生きて帰って欲しい」と、「待っている」と直接伝えること。

今まで見てきた兵士の中でも土壇場で生き延びる力を発揮できるのは、家族や恋人といった、帰りを待つ存在を持つ者が多いのは事実だ。






「リヴァイ兵士長。」





「なんだ。」





ナナは急に俺に向き直ると、俺の右手を小さな両手でそっと握った。





「生きて、帰ってください…………。あなたの帰りを、待っています。」


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