第7章 トラウマ
菅原side
「あれ?及川、どうしたんだ?」
「岩泉と一緒じゃねーの?」
「岩ちゃんはゆいなちゃんと家にいるよ、ゆいなちゃんの荷物取りに来ただけだし」
「どういうことだ?」
及川は少し不機嫌そうに話し始めた
「ということでゆいなちゃんは来週まで学校休むから」
“ジャージが切り裂かれていた”
その言葉に俺たちは驚きが隠せなかった
だってちゃんと見てて、見守ったはずなのに…守りきれてなかったことに悔しくなった
「ももちゃんに会わせてくれないか!!」
「今は無理、落ち着いたけどやっぱりまだ不安定なところはあるし極力今は刺激しないでほしいから諦めて」
「明日!明日はどうだ!!」
「そんな早く無理でしょ!ゆいなちゃんの気持ち考えてよ、頑張るって言ってたけど手は震えてたんだからね!!」
「そうだよな、ごめんな…勝手なこと言って」
「心配してくれるのはいいんだけどしばらくは何もしないでほしい」
及川が帰って行く後ろ姿はすごく辛そうだった
そりゃそうだよな
彼女兼幼馴染がいじめられていたなんて、それで何もしてあげられなかったなんて辛いよな
知ってて守りきれなかった俺らももちろん辛いけど1番辛いのはももちゃんや及川たちなのにな
「及川先輩〜!」
黄色い声がとんでもいつも通り対応しずに握りしめた拳を離さないまま少し俯き気味に歩いて行った