第1章 君は誰を見てるの?
「食うか?」
「うんっ♪」
シリウスは微笑むとチョコレートを食べさせてくれた。
「このチョコレート、フランボワーズより美味しい!」
確かにこのチョコは美味しい。
でもフランボワーズの味じゃない。
なんか…違う。
心がほっとするような味…。優しくて甘い味。
「それ、俺作ったやつ。でも大げさだろ。
フランボワーズは越えれねーよ。」
「そうなの!?でも本当に美味しい!
シリウス、才能あるよ!!
こんな美味しいチョコレート食べたことない!!」
「ははっ、そっか。もう一個あるぞ?」
「ほんと?もらってもいい?」
「もちろん。はい、あーん。」
「ふふっ、恋人同士みたいって、また言われるね」
「なぁ…サーシャ。『みたい』はやめね?」
「え…?」
「恋人同士みたいじゃなくて、恋人同士にならねぇ?」
「私が?」
「あぁ。」
「誰と?」
「俺…」
「ほんとに?」
「いや、嫌ならいいんだ。
でも、俺はずっとサーシャの事がすきだったから…。
その、付き合ってもらえたらなって―」
「もちろん!私も、ずっとシリウスが好きだったの。
だからほんと嬉しい!」
私はシリウスに抱きついた。
「サーシャ、大好きだ…いや、愛してる。」
「私もだよ。愛してる。」
二人はキスをした。
触れるだけの短いキス。