第2章 新プロデューサーはイケメン
しくじった。
私は執事スタイルではないのだが、普段の癖が抜けなかったのか。
「きゃああ!これからお茶でもどうですか?」
「モデルに興味ない?」
事務所に入るや否や囲まれてしまった。
「アンタ、何してんの」
「すいません、囲まれました」
「囲まれたって…はぁー」
困り果てる私を助けてくれたのは姉鷺さんだった。
「はぁー…先が思いやられるわ」
「申し訳ありませんお嬢様方…私はそろそろ置かなくてはなりません。ご無礼をおゆるしください」
「「「キャー!!」」」
「アンタ解ってないでしょ!状況を悪化させてんじゃないわよ!」
丁寧にお引き取り頂いたはずなのに姉鷺さんに更に怒られてしまった。
「アンタに任せたいのは内の看板アイドルTRIGGERよ」
「三人のユニットですか」
写真と書類を見せられるも。
「普通ですね」
「は?」
「ビジュアル的は悪くありません。歌ダンスもまぁまぁなのですが…見た目通りです」
「見た目通りじゃダメなわけ?」
ダメというわけではないけど、三人編成のアイドルは多い。
その中で生き残っていくには足りないものが多すぎる。
「ギャップが足りません。それに事務所の力が強いから売れているようですが…私のお気に入りのアイドルは自分達の魅力で事務所のバックアップし無しにブレイクしました」
私がかつて三か月間だけプロデュースした素敵なアイドル。
彼等は本物だった。
「本物を見れば解るわ」
「そう願います」
これはビジネス。
仲良しごっこじゃないから遠慮はしない。
見込みがないならすぐ降りさせてもらうつもりでもあるのだから。