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私ただの執事でございます!

第4章 第四章音楽の申し子





俺の八つ当たりに佐伯は怒りもせず、親父を普通に利用していると言ってのける。


言うか?このタイミングで。
なんて腹黒くてデリカシーの欠片もないんだとも思ったが。

ここで慰められたら俺のプライドはズタズタだった。

そもそもこいつが俺を慰めるとは思えない。
むしろ傷口に塩をすり込んで行くだろうし。


いや、俺って嫌われてねぇか?


「慰めて欲しいんですか?そんな顔をしても慰めて上げませんよ」

「はぁ!」

「私は女性には優しいですが男性には厳しいので」

「いるか!つーか女好きかよ」

やっぱりこいつは気に入らねぇ!


「職業柄、女性に優しくする仕事ですから」

「は?」

「私の本職は女性を喜ばせる仕事です」


「おまっ…!」

更にとんでもない事を聞いた。

もしかしてこいつの本業ってホストなのか?

前に一緒にいた男達も独特の雰囲気を持っていたし。


「お前、ショービジネスをしているって言っていたよな」

「姉鷺さんですか。ええ…貴方のお父様もお客様でして。私のサービスを喜ばれまして。少し喜ばせ過ぎました」

「何だと!」

喜ばせた。


サービスって…


あのクソヤジ、今度は男にまで手を出したのか!


「八乙女さん…おーい」

「ありえねぇ…絶対ありえねぇ」

まさか手を出したのか。
それで無理矢理佐伯を縛り付けて。

なんて奴だ。

「お前も何やってんだ!もっと自分の体を大事にしろ!」

「は?」

俺はこいつに良い感情は抱いていないが、のっぴきならない事情があると思った。


きっと親父に脅迫されていたのかもしれない。
店だってもしかしたら潰すとか脅されたのかもしれない。


そう思うと少し同情してしまう。
今まであんな態度を取ってしまった事を後悔した。


「ねぇ、二人共何しているの」

「うわぁ!天…」

「楽、君にそんな趣味があったなんて知らなかったけど。無理強いはどうなの」

「は?何言ってやがる!」

いきなり現れた天がわけのわからない事を言いだし誤解をされてしまった。


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