第4章 第四章音楽の申し子
これまでソロとして目立つていた三人だったが、十さんのソロのインパクトが弱すぎた。
エロだけで売っても、ファンを増やすのは難しい。
そこで私が狙ったのはおば様達だ。
彼女達のネットワークはかなり広い。
上手く行けばかなりの利益を見込めるわけだ。
「姉鷺さん、結果は出しました」
「そうね?」
「故に、今後のプロデュースはこのままでよろしいですね?」
「ええ」
渋々と言った表情だ。
まぁ、社長が怒ったらその後のフォローは姉鷺さんがするのだから当然かもしれない。
「また内緒話?」
「別にそんなんじゃ…」
「たいしたことではありませんよ?プロデュースの話です」
「フーン?気になるね」
「気になさるほどの内容でもありません」
そう、あくまでタレントが気にする程では――。
バァン!
「佐伯!」
「社長、おはようございます」
早速登場だ。
「何がおはようございますだ…貴様、龍之介の新しい仕事を勝手に決めたな」
「問題でもありましたか?」
「大ありだ!」
「私はプロデューサーです。貴方の指図は受けません…それとも貴方が今からノワール以上の仕事を今日中に取って来てくださいますか?」
「くっ…」
「ノワールの社長のばっくには女優麻宮巴さんに、ダグラス・ルートバンクもいますが?彼等を敵に回す度胸があるならお好きにどうぞ」
「ぐぐっ…」
いかに八乙女プロダクションが大手でも彼等を敵に回すことはできない。
「あの親父が…ありえない」
「彼、結構性格悪かったんだね」
外野が煩いけど何とでも言うがいい。
私はプロデューサーとしての矜持がある。
「この仕事は彼の仕事です。無理強いをする気はありません。十さん、貴方が嫌なら断ってください」
「千早君…」
「マネージャーもプロデューサーもタレントにっとては親、親が子供の可能性を潰すなんて真似許されませんよ?」
私は子供を産んではないけど、既に店を任される身、
従業員は私の子供のようなものだからこそ、解るのだ。
親は子供の成長の妨げになってはならないのだと言う事が。