第3章 第3章希望の欠片
【百side】
毎年のように届く花束。
俺とユキの大切な人で俺の憧れの人。
今年も届いた花束を見るユキの顔は切なかった。
笑っていても辛そうで、悲しそうで、俺も胸が痛んだ。
大好きだった。
優しくて、少し天然だったけど。
本当に優しい人で――。
馬鹿な俺を何時も助けてくれた。
あの頃の俺はどうしようもない馬鹿で今も変わらないけど、Re:valeの百として生きれるようにしてくれた。
だから、もし俺が代用品でなかったら。
本物に慣れた時は、心から感謝を言葉にして歌おうと思ったのに。
なのにあの人は消えた。
曲を残して俺達の前から煙のように消えてしまった。
あの時のユキはバンさんの時以上に荒れていた。
まぁ、バンさんの時みたいに自棄は御こなさなかったけど、社長がユキの怒りに火に油を注ぐような真似をしてしまったのが原因だった。
「百君、事務所に飾りましょうか」
「うん、お願い」
おかりんが気を使って花束を綺麗に飾ってくれた。
「今頃どうしているでしょうか…」
「会いたい…#NAME7#さんに…ううん、聖さんに会いたいよ」
もう一度会いたい。
花束ではなく直接あの人に会いたい。
昔みたいに頭を撫でて欲しい。
でもそれは叶わない。
でも、ユキは諦めていない。
あの手この手を使って聖さんの行方を探している。
俺だって伝手は全部使った。
なのに見つけ出すことはできなかった俺はせめてテレビで見て、メッセージに気づいてくれる事を願うしかなかった。