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【HP】怪鳥の子

第6章 魔法の授業


 マッチ棒を針に変える。ミラは教えられた通りにマッチ棒に向かって杖を振った。しかし変化はなく、もう一度試してみたがマッチ棒はうんともすんとも針には変わらなかった。
 授業が終わるまでに、マッチ棒を僅かでも変身させることが出来たのは、ハーマイオニー・グレンジャーただ一人だけだった。マクゴナガル先生は、クラスの全員に、彼女のマッチ棒がどんなに銀色で、どんなに尖っているかを見せた後、ハーマイオニーのほうに滅多に見せない微笑みを見せた。

 ミラは恨みがましく自分のマッチ棒を睨みつけた。入学前に変身術の本は3回も読み返したというのに、自分の実力がこうもハッキリとわかると、気分が落ち込むのがわかった。


・・・・・


「ミラ、気分でも悪いのか?」
「ううん…」

 いつも涼しい顔か眉間に皺を寄せているミラが、初めて暗い顔をして見せたことに、流石のロンも気が付いた。

「思ったより変身術って難しいんだなって。3回は本を読み返したのに」
「君ってどっかの誰かさんみたい」
「その誰かさんはちゃんとできてたけどね」

 名前を言わずともミラにはロンが誰のことを指しているか分かり、ピシャリと言った。ロンはミラの後ろにいるハリーの横にサッと避難した

「…そんなに針に変えれなかったことがよくなかったのか?」
「僕もわからない。でも触れない方がいいよ」

 ハリーとロンは、ミラに聞こえないようにコソコソ話した。


・・・・・


 金曜日になると、ハリーとロンはミラの助けなしに、大広間へ初めて迷わず行くことができた記念すべき日になった。ミラは二人の後をついて行っただけで、大広間に着いた時には三人はハイタッチを交わした。

「今日は、何の授業だっけ?」

 と、オートミールに砂糖をかけながら、ハリーがロンに尋ねた。

「スリザリンの連中と一緒に、『魔法薬学』さ。スネイプ先生はスリザリンの寮監だ。いつもスリザリンを贔屓するって皆んなが言ってる…本当かどうか今日わかるだろ」

 ロンは投げやりに言った。ミラはヨーグルトにミルクを混ぜ、大皿に乗っていたフルーツをいくつかと、グラノーラを自分のボールに入れてかきまぜながら、「すっごく楽しい授業になりそう」と、そうとは思えない顔で言った。
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