第18章 やっぱり好き ~黄瀬~
負けた、
初めて負けた........
今まで何をするにも
負けた事なんてなかった
帝光時代なんか
負ける事が許されない環境だったから
尚更勝つ以外考えられなかった
負けた後
悔しくて訳わかんなくなって
ちょっとだけ泣いた
泣き顔なんて誰にも見られたくなかった
チームメイトにも黒子っちにも
特に
っちには
「誠凛のベンチに座ってたし、絶対見られてるっスよね」
独り言のように呟く
誠凛と練習試合って聞いて
最初は嫌だった
もちろん
黒子っちが居るってのもあるけど
それ以上にっちがいたから
怖かったんだ、俺は
帝光時代
青峰っちと繰り返した昼休みの練習
卒業まで続けたけど
っちが現れる事はなかった
だから、
どんな顔して合えばいいのかとか
何か言われるかもなんて考えると
足が竦んで誠凛の体育館に入る事さえ
苦しくて、
でも必死で足を進めた
そこにっちはいなかったけど
黒子っちがいた
『黒子っちください』
なんて言う気なかったけど.....
でもやっぱり誠凛に来てよかったって
思えたのは、
帰り際の校門でっちが笑顔で
話しかけてくれたから
「涼太」
そう呼ばれるのが久しぶりで
なんだか照れ臭くて下を向いたけど
すごく嬉しかった
だからって
今回の試合、手を抜いた訳じゃない
でも負けた
悔しい、けどなんか気持ちいい
純粋にバスケが楽しかった