第7章 覚悟
「あ、ぅっと…治」
「ほな、それだけやから」
微かに震える体を隠したくて
俺はゆいなに背を向ける
「治、待って」
聞こえとる
けど
もう力が抜けそうやねん
俺はお構いなしに歩くと
「待てよ!!治!!!」
ゆいなの大きな声に
ビクッと体が反応した
足を止めて振り返る
「何で先に行くの?私の返事聞いてから立ち去ってよ」
「もう返事出てるん?!」
「前言ったじゃん…好きな人いるって……だから答え決まってるでしょばか」
「そ、そうやった…」
今から返事聞くんか…
聞きたない
けど
聞かなあかん
わかっとるけど…
「私は…」
「ちょっちょっ待ってや!」
「え、」
「こ、心の準備させてくれへん?」
「い、いいけど…治緊張してるの?」
「当たり前やろ!俺をなんやと思っとるん?!」
「そうだね、緊張するか…じゃあ準備できたら言って言うから」
俺は心臓を撫でおろした
これ聞いてしもうたらもう俺は元に戻れんのやな
落ち着け
振られてもええって思ったやんか
やけどやっぱ振られたない!!
でも伝えられてよかったやんか
伝えられんで終わるよりずっとよかったやんか
なら怖がることないやんか
結果が大事なんこと知っとる
でもどんな結果でも俺はゆいなを好きなことに後悔ないやろ
伝えられただけで幸せもんやんか
「え、ええよ。教えてくれやゆいなの気持ち」
「うん、私はね_____が好き」