第3章 *アリアーブ・ナーリヤ*
ケイト『マレウスくんがいないよ?』
再びいなくなったマレウスを探して辺りを見渡すと、今度は少し先の店という目の届く範囲にいたため、騒ぎにはならなかった
一方マレウスは、顎に指を添えながら考え事をしている様子だった
カリム『..あ!あそこの店から出てきた!リリアへのお土産、まだ見つからないのかな?』
ケイト『マレウスくんはリリアちゃんと付き合いが長いしね。妥協したものを買いたくないんだろうな』
トレイ『学園に戻ったら、マレウスが真剣にお土産を選んでたってリリアに教えてやらないとな』
ジャミル『マレウス先輩、何かお困り事ですか』
マレウス『誰かのために土産を買うのは初めてなんだ。中々難しいな。リリアは、観光地のペナントを集めているから探してみたのだが..ここには無いようだ』
トレイ『ペナント..?聞いたことがないな』
『その場所の絵とか書いてある..こう..三角の旗、だよ』
ユウ『は知ってるの?』
『ん..おばあちゃんが、持ってた..昔、一緒に旅をしたある人と、買ったんだって』
マレウス『...ああ、その通りだ。リリアに聞いたのだが、どうやら土産の定番らしい。僕もリリアからよく貰うから、寮の部屋に飾っている。
織物が盛んな国だから、ペナントはピッタリな土産だと思っていたのだが..』
『今はもう、売ってないのかな..?』
すると、話を聞いていた店の店主が置いていたのはかなり昔の話だと教えてくれた
マレウス『それは残念だ』
ジャミル『織物..では、これはどうでしょう?』
そう言ってジャミルが手に取ったのは、一枚のシャツだった
マレウス『華やかなデザインのシャツだな。この"束縛から解き放たれし者が纏う自由の衣"という謳い文句も気になる』
ジャミル『これはジャーニーシャツと言って、ランプの魔人が旅をする際に着た服だと言い伝えられています。旅行のワクワクした気持ちや高揚感を表すために、ド派手な柄や色になっているんですよ。
そんな言い伝えや珍しいデザイン性から、観光客への土産物として発展していきました』