第4章 この道、桜吹雪につき。注意。
●??? ??● 〜校庭〜
桜が咲いたら、オレの日常が生まれ変わる。
ほんのちょっとした周囲の変化も。
積もった分だけ、大きな変化になってオレを襲う。
オレはそれが、楽しみでしょうがないんだ。
次の波を待つサーファーにでもなった気分だ。
新しい景色を、見てみたくてたまらない。
日々の生活を通して、とうの昔に見慣れてしまったはずの景色に。
色彩が加わるだけで、どうしてこれほどまでに心が動かされるのか。
見慣れた背景に描かれる、見慣れない顔。
溢れる人。
満開の桜。
オレの目に映るこの瞬間。
その全てに躍らされる。
水々しい若い力が弾け出し。
飛散と同時に、小さな粒となって散漫したその香りは。
青くささを残した酸味を漂わせながら、春の日差しを乱反射させる。
晴れの日は大好きだ。
あったかくて。
経た時間に比例して、ヒートアップする空気。
体感温度が上昇するのは、快晴の空のせいだけではないのだろう。
オレを取り巻く特別なイベントが、体の表面温度だけでなく、心の油田に火をつける。
それは…
「バスケ〜 バスケ部〜
バスケ部は いかがですか〜?」
部活勧誘だ。
それは、荒波の予感。
「嵐の前の静けさ」という言葉が、当てはまらないことだってある。
その証拠にオレは、この状況でじっとしていられるような玉じゃない。
だから声を出した。
たくさんの顔を見た。
新しい当たり前を求めて。
オレの名前は。
小金井 慎二。