第10章 チャイムの鳴る前に
●リコ side● 〜図書室前〜
リコと伊月は、先ほどとは違う変な汗をかき始めていた。
「オレらも交ぜて〜!!」
まもなく藤堂 天に会えるというその時に、この状況を全く理解していない小金井が介入してきた。
・・
小金井だけだったのなら、まだ良かっただろう。
しかし、その存在を確信した瞬間、リコと伊月は小金井が一人ではないことも同時に覚悟した。
確認するまでもなかったが、小金井の後方に目を走らせれば、案の定水戸部もいた。
だか、それは大して問題ではない。
厄介なのは小金井でも、ましてや水戸部でもないのだから。
この状況において本当に一番厄介な存在は、間違いなく日向だった。
同クラスの小金井と水戸部ならまだしも、全く別のクラスの日向はここに来ていないことも考えた。
しかし、それは叶わず、水戸部の横にはちゃんと日向の姿もあった。
「ちょっ…!あんたたち…!」
「こんなところで何してんだよ…?!」
リコと伊月は声が響かないように気をつけながら、目の前に現れたチームメイトたちを責め立てた。
2人に詰め寄られた小金井は「え、それ、今、オレガキイタ…」と困惑を露わにした。
そしたら今度は、日向が「“こんなところで”はお前たちの方だろうが」と言い返した。
「授業終わった途端、教室飛び出して…
訳ありっぽそうだとは思ったが
これはどういう状況だ?」
日向はそう言って坦々と諭す。
一方で、リコと伊月は慌てた様子で「シーッ!!」と人差し指を口前に持ってきて、静かにしろと警告した。
2人からしてみれば、この状況においてチームメイトたちの存在は、はっきり言って迷惑でしかなかった。
それを感じ取ったためか。
もしくは、人が話しているのを必死になって止めようとしたからか、日向が不機嫌そうに顔を顰めた。