第2章 第二章迷える子羊
肌寒い季節だった。
羽織を被って病院に向かうも、何故か診察室まで付き添う気でいる。
「二人共、待合室で待ってて」
「中には入れないのか?」
「入れないわよ」
小さな子供しか付き添いはできないし、今日は検査の為に血液検査だけでなくレントゲンも取るんだから。
「じゃあ屋根裏に待機して」
「ダメよ」
「じゃあ、奇襲を受けたらどうするのさ」
現世で奇襲されるわけないでしょうが。
そうでなくとも病院内にぺったり張り付いているのに。
これ以上何が必要と?
「じゃあ俺の出番だな」
「は?」
音もなく背後から姿を現せるのは薬研だった。
「旦那達は悪目立ちし過ぎるが、俺なら子供だと言うことである程度の場所まで付き添いは可能だ」
「結局ついてくる気なのね!」
「当然」
ドヤ顔をして決めてもカッコ良くないわよ。
「大将は俺達が傍にいるのがそんなに迷惑なのか」
「えっ…そんなことは」
なんてあざといのかしら!
この顔でそんなことを言われると正直断りにくい。
「じゃあ行こうぜ」
「ええ…」
他の刀剣男士も過保護ではあるが、源氏組と織田組は輪をかけて酷い気がする。
こんのすけ曰く本霊である故に私との絆が強いからだとの事。
私の先祖は源氏、織田の血縁らしい。
調べたけど、私の祖父は源氏の血筋を持ち、祖母が織田家の血筋を引き継いでいた。
後に織田信長の寵愛を受けた側室、生駒吉乃の子孫が私の祖母の家系だとも聞く。
元より私の祖母は京都一の美女で霊力も強いらしく。
私は美貌を受け継がず、霊力を受け継いだのかもしれないな。
「大将…」
「すぐに終わるから待ってて」
診察室の中に入る事は出来たけどレントゲン室や点滴をする部屋にまで入る事はできず。
出入り口の待合室で待ってもらうことにした。
何だろう?
ものすごく後ろ髪が引かれる思いだった。
「すいませんが、隣のベッドで点滴を入れる方がいまして。よろしいでしょうか?」
「はい、かまいませんよ」
今日は日曜日だから混んでいるのね。
まぁ、点滴はもう終わりだし問題ないわ。
「春原さんどうぞ」
「はい…」
え?
この声…
「レイさん?」
「百ちゃん?」
どうして彼がここに。
ドクン!
まずい!
興奮したら胸が苦しいくなるのに!