第1章 第一章始まりは雨の日に
こうして私は審神者として迎えられ。
こんのすけから与えられたのは北国の陸奥国だった。
聞けば一番領地は広いが一番の辺境の地で冬が長く、普通の人は一週間と持たず逃げ出すとか。
「最初から底辺じゃない」
「申し訳ありません」
でも、土地付き、広い物件付で家賃も要らないとくればこれ以上の条件はない。
「私の立場はどうなるのかしら?」
「公務員兼自営業となります」
「え?いいの?」
「はい」
国の要人としての待遇を受けるので給料は税金から支払われるが、副業をするのも良し。
ある程度安定すれば好きに現世に行き来してもいいとの事。
「私、しばらく現世には帰りたくないな」
「主様…」
「もう、あそこに私の帰る場所はないし」
現実逃避かもしれないけど、しばらくは引っ込んでいたい。
軽く人間不信になりかかっているし。
「主、嫌なら近侍を立てればいいから」
「そうですね。主様のお体と精神状態を考えれば…何より本霊をお持ちになると…言いにくいのですが」
「何?」
もう驚かないわ。
「権力欲しさに、政界の者からの縁談も来るでしょう。審神者という職務故に…そうでなくとも主様のお祖父様は」
確かに私の祖父は日本文化会の会長でもある。
簡単に言えば財閥になるわけで顔も広いから、家から出たと言えど利用価値もある。
「下世話な言い方をすれば妾に…」
「「ああ?」」
「ひぃぃ!!」
既に鬼となった二振りは抜刀した。
「でも、そんなもの好きいるかしらねぇ?私は子供が生めないからって早々に本家から追い出され女失格の烙印を押されているし」
「なんたるぶじょく、なんたるくつじょく…やはりころしてしまいましょう」
「火に油を注がないでください!刀剣男士は基本、顕現した主を守る傾向にあります。本当に人を斬ってしまったら大問題です!」
泣きながら発言に気を付けるように言われ、しぶしぶ大人しくした。
「とりあえず静養しながら合間に仕事をすればいいのね」
「えっ…まぁ、そうですが。片手間には難しいかと」
まずはゆっくり休めと言われた。
審神者の仕事は多忙だったらしいけど。
私はい意味でも悪い意味でも転んでもタダで起きないタイプだったようだ。