第4章 第四章初めての舞台
お祖父様の手助けもあり、ご当地アイドルとしてAWT48は結成された。
男性ユニットアイドルは未だ三人か五人だったので、物珍しさもあってすぐに話題となった。
ローカルなCM等は大御所アイドルを起用しないのには理由があった。
ギャラの値段が高すぎるからだ。
新人等や事務所が無名ならばギャラは安く済むし、場合によってギャラがお金じゃないことが多い。
「いやぁ!助かりました。こんなかわいい子達に宣伝してもらえるなんて」
「こちらも、嬉しいですわ」
農家の場合、宣伝する野菜がギャラの代わりになることもあるので、事務所と揉めることが多いのだ。
イメージガールは勿論乱と厚で行い。
大根を持って歌い踊ることになっている。
そして最大のマスコットキャラは。
「何で俺が大根なんだ!」
「良かったね鶴さん、すごく似合っているよ」
「鶴丸殿、お似合いですぞ。弟の引き立て役を頑張ってください」
大根のゆるキャラ、大根丸。
鶴丸が抜擢されて、彼も着ぐるみアイドルとなった。
「おい、一期一振!俺に何の恨みがあるんだ」
「何の事ですか?鶴丸殿は大根のような恰好をしておらるではありませんか?」
「鶴だ!つ・る!」
普段から着物は白い物が多い。
鶴をイメージしているのだろうけど、決して大根ではない。
でも…
「案外に似合うね?彼」
「ああ…ぶふ!」
「おい源氏兄弟!聞こえているぞ!」
隣でカメラを回しながら吹き出す二人。
確かに面白いし、私も笑うのを必死に我慢していた。
「お前の好きな驚きだ。視聴者を大いに笑わせるべく、泥の中に突っ込め…大丈夫だ。ミミズを用意してある」
長谷部…。
何時からそんな物を用意していたの!
「お前の好きな驚きだ」
「そんな驚きは欲しくない!」
確かにダイブする傍にミミズがあったら驚いてしまうかもしれない。
恐怖の意味でね?
「お疲れ様です!皆さん、よろしかったら召し上がってくださいね」
CM撮りは終わり、大根料理とおにぎりが振る舞われた。
「うぉ!美味いぜ!」
「本当だ、このおにぎりすごく美味しいよ」
「沢山召し上がってくださいね」
農家のミナさんの好意でお昼をごちそうになった後大量の大根を持ち帰ることになった。