第5章 赤に揺れる/小さくなったその後
でも零と一緒にいられるようにという願いが叶っただけで、監視されてるとかそんなことはどうでもよかった
そしてあの夜から諸星さんとは会えていなくて、後に『ライがFBIとバレて組織を離脱、後にキールに始末された』と零から聞かされ、血の気の引く様な感覚に襲われた
少しの間でもチームとして一緒にやってきた人が、兄的存在として仲良くしていた人が死んでしまうなんて
あのFBIでさえも組織から逃げられなかったなんて
もしも零も公安とバレたら同じことになってしまうのではないかと、あれから組織の仕事が入る度に不安で不安で堪らない
零は絶対に大丈夫と笑って見せてくれているけど、大丈夫であって欲しいと祈ることしかできない
諸星さんに会えなくなる日だって突然来たんだ、顔を合わせて、笑って、抱き合って、零と呼べなくなる日も来てしまったらどうしようかとか、そんなことことばかり考えてしまう
そういえば諸星さんの本名が赤井秀一だと知ったのは組織に始末されてからだった
ちゃんと本名で呼んでみたかったな…
「あかい…」
バサバサッ━━━
「……!」
ソファの横からした物が落ちる音に驚いて身体を起こすと、そこには沖矢さんが立っていて、床には数冊の本が散らばっていた
「大丈夫ですか?!」
「えぇ…」
駆け寄って本を拾い始めると、沖矢さんも膝をついて拾い始める…かと思いきや、腕を引かれバランスを崩した
「わっ!?」
せっかく拾った本はまた床に散らばり、オレは沖矢さんの胸に寄せられ、強く抱きしめられた
「沖矢さん?」
「少しだけ、このままでいさせてください」
驚きはしたけれど、沖矢さんに突然何かをされる事に慣れ始めている自分がいた
何かするならちゃんと言ってと言ったのに
まさかこれは……
「……また意地悪ですか?」
「…そういうことにしておいて下さい」
どういうことだ?と思いながらも、なんとなく沖矢さんから寂しそうな雰囲気が感じられ、自然と背中に腕を回しトントンしてしまった
子ども扱いの様で失礼になってしまったけど、沖矢さんからは「ありがとうございます」と解放され、この状況に首を傾げた
「よく眠れましたか?」
「あ、はい!おかげさまで!」
腕時計を見ると1時間程寝ていたようで、この後のコナンとの用事を思い出しハッとした
「オレそろそろ行かないと!」