第10章 ストラップの行方
「博士、オレ不安しかないんですけど…」
「ま、まぁ実際に使う前に何度か試運転してみてくれんかの…」
そんなこと言われたら更に不安なんだけど…
まぁでもオレが「スケボーは乗れないし持ち運び大変。でも何か移動手段欲しい」って言ったから考えてくれたんだ、試運転して慣れるしかないか…
「こっちはお気に召さんかったかのぉ…」
「そんなことないです!色々考えてくれてありがとうございました!」
そうかそうかと機嫌を良くしてくれた博士にホッと一安心した
ちなみにこのローラーを外すときはスイッチをオフにしてタイヤを止め、右足のつま先と左の踵をトントンと2回合わせると左足のタイヤがしまわれスティックに戻る
そしてそれを右足の踵に2回合わせると今度は右足が…と、結構細かい…
教えてもらった通りにローラーを外し元のスティック状に戻すと、玄関の外から賑やかな声が聞こえてきた
きっと探偵団のみんなが帰ってきたんだろうと、急いで靴を脱ぎリビングに上がる
「博士ただいま~!」
「帰ったぞー!」
「元太くん挨拶はきちんとしましょうよ!」
「みんなおかえり!サッカー楽しかったか?」
「「「リュウくん!!!」」」
歩美ちゃんを先頭に元太と光彦が玄関に入り、そしてその後ろにはコナンと哀ちゃんが2人並んで帰ってきた
それぞれ私服の中、哀ちゃんだけは有名サッカーチーム、ビッグ大阪のユニフォームを着ている
前に一緒にサッカーをした時に「比護さんお得意の…」って言いながらシュートを決めようとしていたくらいだ、きっとビッグ大阪の比護選手のファンなんだろうな…
「例の発明品、取りに来たのか?」
ポケットに両手を入れながら近付いてきたコナンに言われ、手に持ったままのスティック状に戻ったローラーシューズを見せ、まぁね、と答えた
そのままスティックをバッグにしまいに行くと、子ども達は試合の話に花を咲かせ始めた
「ホォー!スタンドで比護選手に会ったのか!そりゃよかったのォ!」
歩美ちゃんと光彦が興奮気味に話してくれたのは、怪我で試合に出られなかった比護選手がスタンドに現れ、通路側に座っていた哀ちゃんが声を掛けられたというエピソードだった
何やら比護選手の絡む事件で顔見知りだったらしいけど…やっぱり有名な探偵と一緒に行動することの多いコナン達は有名人絡みの事件にも遭遇しているんだなぁと思った